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2026年1月13日 Age-Well Design Labプレスリリースお知らせ

若者とシニアが共に創る「超高齢社会」〜人生100年時代を”どう生き、どう支えるか”を現場から考える〜

孫世代の相棒サービス「もっとメイト」や、多世代コミュニティスペース「モットバ!」を展開する株式会社AgeWellJapan(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:赤木円香、以下AgeWellJapan)は、2026年1月10日で創業6周年を迎えたことをお知らせいたします。皆様に心より感謝申し上げます。

 7年目に向けて、AgeWellJapanは「Age-Well」の社会実装をさらに加速させるフェーズへと進みます。このたび、東京大学の秋山弘子名誉教授がAgeWellJapan顧問およびAge-Well Design Lab監修に就任し、超高齢社会における産官学民連携を現場から推進する体制を強化します。これを記念して、特別対談を公開します。

「鎌倉のチベット」で、人生100年を考える

赤木:本日はよろしくお願いします。まずは、この素敵な場所について伺いたいです。秋山先生は、どういう経緯で鎌倉のまちづくりに携わるようになったのでしょうか。

秋山:こちらは、鎌倉の今泉台と呼ばれるエリアです。鎌倉は海も山もある自然豊かな場所ですが、都市部の人口が急増した昭和40年代頃から旧市街地を囲む丘陵地で開発が進み、素敵な住宅地がいくつも生まれてきました。その中でも今泉台は、高齢化率が非常に高く、課題が集中している場所として見えてきた地域です。住民の方は冗談めかして「鎌倉のチベット」と呼ぶほど、景観が素晴らしい地区でもあります。

一方で、アクセスが少し不便なこともあり、若い世代が定着しにくい。共働き・子育て世代は、どうしても利便性の高い都心エリアへ移りやすいという構造がありました。私は長年「長寿社会のまちづくり」に取り組んできましたが、自分自身がこれから歳を重ねていく鎌倉で何ができるのかを考え、15年前からこの地域に関わるようになりました。

赤木:なるほど。ここから、モデルをつくって発信していく取り組みが始まったのですね。パン屋さんや魚屋さん、そしておしゃれなコーヒー屋さんもあって、再びまちが動き出している感じがします。

秋山:そうですね。産官学民が連携して、小さなモデルを作り、発信していこうと始めました。ここに集まるお店は、実際にこの地域に住む方たちが運営しています。行政主導で計画されたものではなく「ここで最後まで安心して楽しく暮らせる町にしたい」という住民の意思で一つずつ生まれているんですよ。

時代と共に変わる、高齢期の生き方

赤木:素敵ですね。秋山先生自身は、老年学を長年研究される中でどのような経緯で“貢献寿命”という考えに至ったのでしょうか。

秋山:高齢者は、本当に「ムービングターゲット」です。課題も可能性も、時代とともに大きく変わってきました。例えば50年ほど前は、認知症や介護が初めて社会課題として可視化され、高齢者=ケアされる存在として語られることが多かった時代です。私の両親世代も、今の高齢者とは状況が大きく違います。現在の高齢者は健康で、高等教育を受けた人が多い世代です。こうした変化の中で、「高齢期をどう生き、どう社会と関わるか」という問いが生まれ、その流れの中から貢献寿命という考えが立ち上がってきました。

面白いことに、日本のシニアは海外に比べて「生涯現役でいたい」と考える人が非常に多いです。ヨーロッパでは、「できれば、早く仕事を離れて余暇を楽しみたい」という価値観が強い傾向にありますが、日本では働くことや役割を持ち続けることが、自分らしさや誇りにつながっている方が多いと思います。これは単に経済的な理由だけではなく、社会とつながり続けたい、誰かの役に立ちたいという意識の表れであり、私は日本の宝だと思っています。

赤木:「ムービングターゲット」という言葉、すごく刺さります。課題も可能性も、時代とともに変わっていくんですね。では、貢献寿命を、個人はどのように実感して、デザインしていけばいいでしょうか。

秋山:人生100年時代は、“誰かが決めた生き方”をなぞる時代ではなくなっています。自分で舵取りしながら人生を設計して、必要なら軌道修正する時代です。その時に私がよく話すのが、働く・学ぶ・遊ぶ・休むの4つを、自分の状況に合わせて組み合わせること。リタイア後は24時間が自分の時間になる。だからこそ、何をどう配分するかで人生の質が変わる。年齢に伴い、体調や孫の世話・配偶者の介護など生活環境の変化に合わせて配分や内容を変えていく。正解は人それぞれです。

赤木:なるほど。貢献寿命は、働き方だけの話ではなく、人生全体をどう設計していくかという視点なんですね。その考え方を踏まえて、今回AgeWellJapanの顧問、そしてAge-Well Design Labの監修に関わってくださった背景を教えてください。

世代の交わりから生まれる、新しい発想

秋山:大学院生としてアメリカの大学でジェロントロジー(老年学)を学んでいた頃、高齢者のお宅を訪ねると、「あなた、若いのになぜ高齢者なんかを研究するの」と何度も言われました。特にアメリカでは、若くてセクシーであることに価値が置かれる文化がありますからね。

長年、高齢者研究に取り組んできましたが、研究そのものは、やろうと思えば一人でも続けることができます。一方で、AgeWellJapanの若い世代が、人生100年時代を自分ごととして捉え、事業として社会に挑戦している姿には、強い共感と感銘を受けました。だからこそ、この事業を応援したいと思いました。

赤木:本当にありがたいです。ビジョンに対する想いだけで走ってきたこの6年間に、秋山先生が関わってくださることで、私たちの取り組みをもう一段、厚みのあるものにしていけると感じています。

秋山:私は、若い世代とシニア世代がコラボレーションすることで生まれるアイデアや行動変容、そしてその先にある社会の変化に期待していますよ。

赤木:ありがとうございます。現在、Age-Well Designerは東京を中心に累計200名ほどが関わり、秋田や名古屋、浜松など、地方にも広がり始めています。私たちの強みは、若い世代がピュアな目線でシニアの方と出会い、「シニアってかっこいい」「学びがある」と価値を見出し、その関係性を社会に発信できることです。

そして、その関わりの中で生まれる「ありがとうと言われる喜び」や「社会の一員である実感」が、シニアのどのような行動変容につながっているのかを、事例として蓄積し、根拠をもって示していくフェーズに入っていると思います。秋山先生の助言を受けながら進めていくことは、私たちにとって次の成長につながる大きな機会だと感じています。

秋山:世界の高齢社会対策は、大規模で緻密な調査をして分析し、予算をつけて施策を落としていくことが多いんですね。ただ、それだけでは人は動かないし、社会も動きにくい。そこで大切になるのが、当事者と一緒に話し、考え、活動しながら学びを得るアクションリサーチです。AgeWellJapanは、すでに現場でそれを半分やっていると思います。これまで蓄積した知見を体系化し、エビデンスとしても提示できる形にしていくと良いと思います。

赤木:私たちには、会員さんの変化の事例や言葉を「顧客感動提案」として社内で蓄積しています。これまでは内部の学びとして整理してきたものですが、先生が入ってくださることで意味づけされ、社会的な価値として提示できるようになると改めて感じました。最後に、超高齢社会を変えていく上で大切な視点について伺えますか。

超高齢社会を変えるのは「産官学民」

秋山:千葉県柏市でのまちづくりは、当初「産官学」で進めていました。ある時から、住民は受益者ではなく、課題解決の主体になり得ると気づきました。住民と一緒に取り組むことで、企業が正しいと思っていた仮説が覆ることも少なくありません。技術ありきではなく、生活者の声に耳を傾けることで、新しい可能性が見えてきます。

企業はモノやサービスを形にし、大学は科学的な基盤を、行政は制度とスケールを担う。そして住民は、生活者としての現実と知恵を持っている。この産官学民が信頼し合い、強みを持ち寄って共創することが、超高齢社会を前に進める鍵です。AgeWellJapanには、若い世代とシニアが自然に交わり、新しい発想が生まれる土壌があると思います。

赤木:個人が自分の人生の舵を取ることと、社会がどう舵を取るかは、本当は地続きなんだと思っています。働く・学ぶ・遊ぶ・休む。人生100年をどうデザインするかという問いと、産官学民がどう交わり、超高齢社会をどう前に進めるかという問い。その両方の“舵取り”を、現場から形にしていく。Age-Well Design Labは、そんな場所でありたいと思います。

秋山:超高齢社会は、これまで先進国の課題と見られてきましたが、今や中国やインドをはじめ、グローバルサウスでも急速に進んでいます。人口規模がまったく異なる国々が高齢化を迎える以上、これは世界共通の課題です。日本は、その最前線を走ってきた国として、産官学民が連携するモデルを現場から示し、世界に共有していく役割を担える。私自身も、その一員として、この挑戦に関わっていきたいと思います。