
2023年10月31日
Age-Well Design Labでは、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-Well”を体現されている方へのインタビューをお届け。Age-Wellな生き方を発信していきます。
今回は、孫世代の相棒サービス「もっとメイト」を利用されている久保川幹夫(くぼかわ・みきお)さんにインタビュー。久保川さんは、孫世代のAge-Well Designer(以下、AWD)との交流を通じて、自らも留学という大きな夢を掲げ、日々挑戦し続けている方です。「人生まだまだこれから!」と語る久保川さんから、夢を持って生き続ける大切さとその秘訣についてお話を伺いました。
インタビュアー:秋山)久保川さん、本日はよろしくお願いいたします。はじめに、久保川さんが「もっとメイト」に出会ったきっかけを教えてください。
久保川さん)5年前、辰巳くん(AgeWellJapanのメンバー)がマンションのポストにチラシを投函していたんです。そのチラシを見て、スマートフォンの勉強をするために申し込みました。1人暮らしをしているので寂しく感じる瞬間もありますが、月に数回の訪問からAWDには元気をもらっています。そうして今では命綱のように、「もっとメイト」が生活に欠かせなくなっています。
秋山)久保川さんには創業当初からメイトをご利用いただいていて、先日はAgeWellJapanの5周年記念式典にもお越しいただきましたね。
久保川さん)5年前、AWDは5名くらいしかいなかったんですよ。それが今では150名ほど在籍する会社になったことを、私も嬉しく感じています。
秋山)ありがとうございます。私たちAWDは、シニアの方から、貴重な経験や知識を分けていただいていると感じています。久保川さんが、孫世代の私たちから大きく影響を受けていることはありますか。
久保川さん) もちろんありますよ。私たちもAWDの皆さんから元気や挑戦する気持ちをもらっていて、お互いに刺激し合える存在だなと日々感じています。なかでも、やっぱり「若さ」から受ける影響は大きいですね。若さは、もう二度と手に入らないものであるからこそ、AWDの皆さんと関わることで、そのエネルギーを分けてもらっているような気がします。
頑張っている若い人をみていると、「自分もまだまだこれから!」と思えるし、AWD自らの挑戦に感化されて、僕自身も色んなことに挑戦してみたくなるんです。それこそ、溝淵さん(担当のAWD)が、この春からカナダに留学されると聞いて本当にすごいなと思いました。僕も留学したいなという思いはあるけれど、その一歩を踏み出すのはなかなか勇気がいりますよね。そんななかで、1人で留学を決意された姿には心から感動しました。彼女は必ず成長して帰ってくると思うので、来年また再会できることを楽しみにしています。
秋山)久保川さんも英語を勉強されていますよね。
久保川さん)英語は、月2回アメリカ人の家庭教師に教わっています。彼も僕と歳の近いおじいちゃんなのですが、知人を通して仲良くなりました。もともと、大学卒業後に留学をしたいという夢があったのですが、母に反対されて叶わなかったんです。それが、今になってまた夢を実現させたいなと思い、英語を勉強し始めました。
秋山)再び留学をしたいと思い立ったきっかけは、何だったのでしょうか。
久保川さん)まさに、担当のAWDが留学するという話を聞いたことです。AWDの挑戦する姿を見ていると、「もっと今を楽しんだほうがいいんじゃないか」という気持ちが湧いてくるんです。毎日が刺激になって、僕自身も物事に対して前向きに、向上心を持って挑戦しようと思えるようになりました。
それから、『60代にしておきたい17のこと』という本を読んだこともきっかけの1つ。「20代にできなかったことを60代に挑戦してみなさい」というメッセージがとても心に響いたんです。なかでも「若い人に投資する」という章が特に印象的で、言い方は少しおこがましいのですが、これは「一緒に楽しむ」ということだと僕は考えています。色々なことに挑戦してみるのも、せっかくなら若い人と一緒に挑戦してみた方がいいと考えるきっかけになったんです。
たとえば、自分の知識や経験をシェアしたり、逆に若い人から学ぶこともある。そのような関係は、本当に貴重ですよね。普通に暮らしていれば、どうしても関わるのは同世代か子供世代くらいになりがちじゃないですか。ですが、「もっとメイト」を通じて孫世代とつながれたおかげで、ディズニーランドに行ったり、クリスマスパーティーをしたり、自分一人ではなかなかやらなかったことにも挑戦できています。そういう意味で、「もっとメイト」はただのサービスではなくて、孫世代と新しい世界に出会える意義深い機会になっていると感じています。
秋山)久保川さんはいつもニコニコしていて穏やかな方である印象があるのですが、その秘訣を教えてください。
久保川さん)僕は実は短気なんです。人間には、喜怒哀楽という4つの感情がありますよね。怒る時は怒って、悲しむ時は涙を流して、楽しむ時は楽しむという方が人間らしくて魅力的なので、感情を表現することは大切だと思うんですよ。ただ、僕は結構ネガティブに考えてしまう人間で、それに悩んできました。でも、「ネガティブになっても、最後にポジティブに考えられるようになればいい」と考えるようになったんです。だから、僕が大切にしているのは、「ポジティブ」ではなくて、「ポジティブシンキング」。人間は、思った通りの自分になっていく。自分でついている人間だと思えれば自然と運が向いてくると信じています。
秋山)以前、久保川さんにお会いした際にも、「人間は変われると思っていれば変われる」と仰っていたことが印象的でした。久保川さんはどんなきっかけから、そのように考えるようになったのでしょうか。
久保川さん) 人それぞれ波乱万丈な人生があるように、僕も過去を振り返ってネガティブになることがあります。「ただ、過去は変えられない。でも、未来は変えられる」と気づいた時にそのように考えるようになりました。だから後悔ばかりして下を向いて生きていくのではなく、前を向いて「これからどうしたいか」を考えるようにしています。過去に向き合ったうえで、もっと良い未来を生きるためにこれからのことを計画するのが大切なのではないでしょうか。
秋山)失敗を受け止め未来に活かすというのは、なかなか簡単なことではないと思います。過去の経験から、良い面だけでなく自身の弱さにも向き合ってこられた久保川さんならではの、前向きに生きるヒントをぜひ教えてください!
久保川さん)自分を知るというのは、非常に難しいことですよね。 すぐできるのは、紙に自分の長所と短所を書き出してみて、自分がどういう人間かということを客観的に振り返ってみるなど。でも、やっぱり自分のなかで悶々と考えていてもわからないことが多いので、人と話しているなかで見つかることの方が多い気がします。たとえば、人に「君はこういうところがあるよ」と言われて、知らなかった自分を発見できることがあります。そういう意味では、長瀬さんをはじめとした30名近くのAWDに出会って、色々なお話をさせていただいたのは本当に勉強になりました。あとは、高校時代から50年以上仲良くしている親友とは、お互いに良いところも悪いところも指摘し合える関係なんです。心を許しなんでも相談できて指摘し合える親友を持つことは非常に大切だと思います。
秋山)常に未来志向を大切にされている久保川さんですが、これからの夢や目標があれば教えてください。
久保川さん)今は、100歳まで生きるのも夢じゃない時代です。だから、 なるべく長生きをして自分の好きなことをして楽しみたいなと思っています。今の僕の夢は、留学をすることと2拠点生活をすること。もちろん現実的に健康の問題やお金の問題など考えなければいけないことはたくさんあるのですが、夢を持つこと自体に意味があると思っています。夢を持つことで、いくつになっても生き生きと歳を重ねられると思うので、夢はこの先ずっと持ち続けたいです。
秋山)夢に向かって生き生きと歳を重ねるために、久保川さんが普段から実践されていることはありますか。
久保川さん)自分のやりたいこと、つまり夢は何なのかを考えること。そして、それを実現するための土台をしっかり作ることです。たとえば、僕は普段から節約したり、不動産の勉強をしたりしてお金を大切にしています。そしてもうすぐ69歳になるので、病気の予防も兼ねて食事や運動には気を遣っています。
久保川さん)たとえば食事は、バランスよく食べることを心掛けています。ただ、毎日続けられるように、魚やお惣菜は通販で頼んだり、納豆やヨーグルトは近くのお店で買ってきたりしています。野菜炒めぐらいは自分で作るのですが、魚などの主催は電子レンジであたためる程度。自分で準備するものを減らしながら、負担なく続けられるようにしているんです。
また、運動も毎朝5時に起きて近所のコンビニまで歩くのがここ3年間の習慣になっています。以前はテニスをやっていたのですが、膝を痛めてしまってからはウォーキングをするようになりました。やはり元気でいるためには、丈夫な体を作ることが必要であり、そのためには続けやすい生活習慣を作ることが大切だと実感しています。
秋山)以前、久保川さんのご自宅を訪問した際に、素敵なお花が飾られていたのが印象的でした。普段から、身の回りの空間づくりにもこだわっているのですか。
久保川さん)僕は、緑や花などの自然が大好きなんです。普段から自然のあるところへ出かけたり、部屋に花を飾ったりしています。美しいものに触れると心が安らぐので、自分の機嫌をとることを大切にしているんです。
秋山)自分を整える習慣をもつことは素敵ですね。他にも、日々を心地よく過ごすために大切にしていることはありますか。
久保川さん)はい。たとえば、映画や音楽や書籍から、言葉の力を借りることがよくあります。僕の中でずっと心に残っているのが、『ロッキー・ザ・ファイナル』に登場するセリフなんです。ロッキーが息子に向かって、「人生はどんなパンチよりも、重くお前を打ちのめす。だが、人生とはお前が強く殴り返すかじゃない。どれだけきついパンチを打たれても、休まず前に進み続けられるかだ!」と語る場面。この言葉に僕はすごく励まされたんです。前に進むことの大切さを教えられた気がしました。
だからこそ、自然の中を歩いたり、お気に入りの音楽を流したり、本を読んだりして、自分がワクワクできるものを日常に取り入れるようにしています。どんなに外の環境が思い通りにいかなくても、自分のまわりに好きなものがあるだけで、ふっと気持ちが軽くなったり、前を向けたりする。だから僕は、どんなにつらいことがあっても、自分なりのやり方で楽しむことを忘れずにいたい。人生は、まだまだこれから。ロッキーは人生の厳しさを語っていますが、僕はその厳しさも含めて、前向きに、そしてできるだけワクワクしながら人生を歩んでいきたいと思っています。
秋山)日々の小さな選択から、自分がワクワクできるものを選び、積み重ねていく。その先に、自分らしく楽しく生きるヒントがあるのかもしれませんね。久保川さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。
このインタビューのなかで印象的だったのは、久保川さんが未来に軸足を置いて生きている方であるということです。ポジティブに見える姿の裏側には、ネガティブな感情にも丁寧に向き合ってきた軌跡があり、そのうえで、「これからどうしたいか」と、自分に問いかけ前を向く。そうやって日々の小さな選択の中で、自分がワクワクできる方を選び積み重ねていくことが、人生を自分らしく楽しむことに繋がっていく——。その姿勢に、久保川さんの「Age-Well」な秘訣が詰まっていたように感じます。久保川さんの未来を見据えるまなざしや、言葉に込められた前向きなエネルギーから、私自身も日々の選択に対する向き合い方を考えさせられる時間になりました。久保川さん、改めて本日はありがとうございました。
(インタビュー・編集:秋山珠季)