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2023年7月18日 Age-Well Design Lab

【シニア傾聴インタビュー_vol.1】高知とイギリスと笑顔が大好き。「生きる強さ」を自身に問い続ける。

Vol.1 「高知とイギリスと笑顔が大好き」上岡幹子さん

 AgeWellJapan Labでは月に1回、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-well”を体現されている方へのインタビューをお届け。Age-wellな生き方を発信していきます。

 今回は、横浜・二俣川駅の多世代が集うコミュニティスペースであり、AgeWellJapan Labの拠点でもある「モットバ!FUTAMATA RIVER LIBRARY」に通う、上岡幹子(かみおか・もとこ)さんにインタビュー。

 「モットバ!」とは、様々な活動が行われるコミュニティスペースでありながら、AgeWellJapan Lab 傾聴インタビューの舞台でもあります。AgeWellJapan Labの拠点として、会員さんと共にAge-Wellを探求する場です。(モットバ!についてはこちら

 イギリスでの経験をもとにご自身と向き合い続ける、上岡さんの「Age-well」をご体験下さい。

イギリスがお好きということですが、どんな体験があったのですか?

 私のキャッチフレーズは「高知とイギリスと、笑顔が大好き」。高知県出身で、イギリスとの出会いで笑顔に出会い、イギリスに行って自身の変化を観察しているのです。

 イギリスとの出会いは、51年前。その後の私を変えることになりました。広い空が見える場所が好きなんです。イギリスに行くといつも同じ場所に立って、同じ方角の空を見ながら、自分を振り返り、自身の変化を観察するようにしていました。イギリスは、私の聖地です。

 私は元々感受性が強かったのですが、幼少時代はその感受性を封印していた部分もありますね。それを開放できたのは、イギリスに来てからです。イギリスの笑顔と幸せを表現する挨拶に驚かされました。どれだけ幸せを感じるかを挨拶で表現することで、「自分が好き」ということに気づかされました。挨拶をすると、その人の性格が見えると思います。そういう小さなことをよく覚えています。本当に素晴らしいご縁が生まれ、「今日もこれからも良いことしか起こらない!」と思うんです。まだ21歳で、その日にミニスカートを履いていたことを覚えています。これが本当に自然な感覚なのだと感じましたし、いつもこうでいいのだと思わせてもらいました。日本にいたときは周りの目が気になっていましたが、イギリスに行くことを重ねるたびに、周りの人々の目が気にならなくなったことに気づきました。

 昔の私は、自分で全て考えるような性格でした。それが今ではオープンになりました。小学生の頃に嫌な思いをしたのですが、当時は親に言えなかったんですよね。何でこういうことになってるのか全然わからなくって、ぼんやりしていましたけど、振り返ると本当に試されていたと感じます。自分で考えて行動することが、私の成長に大きく寄与したと思います。でも、その気持ちを癒してくれたのは、自然でした。生まれ故郷の高知でも、イギリスでも、どこで見ても空は変わらないんです。

上岡さんの価値観について教えてください

 私が大切にしているのは、周りの人々への感謝の心です。それは仏壇に手を合わせる行為や、家族、育った環境などに対する感謝です。そういったことは父から教えられました。具体的に言葉で教えられたわけではありません。それは私が自然に感じ、育ってきた環境から学んだことなのです。また、私は息子に「こうしなさい」とは言いません。それは私自身が子供の頃に親から言われなかったからです。間違ったことをしたとしても、それは私自身の学びになります。息子が驚くような髪型で帰宅した時も、「私は自分の好きでやっていると思うことならよいと思うよ。」ということをお話しすると同時に、人の目を気にせず自分のやりたいことをやる姿勢が羨ましくも思いました。

 私は感受性が強く、観察力もありました。一方で、私は3人姉妹の真ん中だったのですが、子供のときは寂しい思いをたくさんしました。でも、その経験が私の人間性を形成し、またそれが私の強さとなってきたと思っています。だからこそ、自分が寂しい思いをするときでも、それが新しい出会いにつながると考えるようになりました。

 結局、自分自身を信じて行動することが一番重要だと思います。物事がうまくいかないときでも、それはただその「状況」がうまくいっていないだけで、自分自身が間違っているわけではないと思います。私は常に、今の「状況」をどうするかを自分自身で考え、行動することを重視してきました。だからこそ、「状況」が良くなると、「私のやり方は間違ってない」と自己確認できます。

子育てについても教えてください

 私は25歳のときに結婚し、3人の子供がいます。私が親になる前は、自分が中心となる行動や考え方をすることが自然でした。しかし、子供が生まれると、自分よりも子供を優先するような思考が必要になります。しかし、結局のところ、私は母としてではなく、自分を起点として、本当に行きたい方向に向かって進んでいます。

 子育ての際は育児書は一切読まず、私自身が大切にしてきた価値観や考え方を優先しました。それがあれば、何も示唆する必要はないと思っています。私が知らない間に3人の子どもが成長してきたような感じですね。

 周囲の教育熱心な家庭を見ながら、私は自分が子どもたちのそばにいつもいることで、安心感を提供することが大切だと思っていました。子どもに夢を持つというのは、いい大学に入ることではなく、それぞれが自分の考え方や価値観に基づいて生きることだと思います。だから、子どもたちに対しては、教育というよりは、安定した笑顔を提供することを重視しています。それは同時に、人生を自分自身に問い続けることでもありました。家族に過度に干渉しないというのが、私の方針です。親としては、子どもを観察し、愛情が足りないと感じたとき、子供達一人一人に何ができるのかを考えています。高校受験など子供が何かに向かうときには、なるべくスキンシップを取るようにしてきました。不安を感じたときにスキンシップを通して自信をつける、それが私の対応方法です。

 いいことだけではなく、悪いことが起こっても大丈夫だと私は思っています。それが試練だと思えば、なんとかやり遂げることができます。時間を急がないことも大切ですね。自分が人生でこれまで歩んできた道があり、過去を振り返ると、自分が通ってきたこれまでの道は綺麗な道になっています。一方、目の前の道はいつも未開の景色です。私は未開の景色を見て、何をすればいいのかを考えます。どうすればいいのかを考えるのが楽しいのです。だから、未開の景色を目にしても、ストレスはありません。大変なことでもありますがね。いつでも、物事はプラスにもマイナスにも考えることができます。

人生100年時代をどう捉えていますか?

 年齢を重ねると確かに体の変化は感じますね。腰痛で苦しんだ経験があるので、ラジオ体操が日課です。少ない費用で毎日10分ほどの運動ができるのはいいですよね。あとは最低限の注意を払いながら、自分の好きなことを続けてきました。その結果、私が何歳まで生きられるかは分かりませんが、今を生きているので年齢はあまり気になりません。

 いつでも好きなことに大きく取り組むことが私の原動力です。毎日が楽しいのが嬉しいですね。自分がしっかりと動き、他人の評価を気にせずに行動することが重要だと思います。今を充実させる、今を生きることが大切だと思います。そのためには、毎日を楽しく過ごすことが大切ですね。

 私のこれまでの経験から言えることがあるなら、好きなことに集中するということは大切です。子育てをしながらも、もう少し自分の好きなことに時間を使っていれば、と思います。好きなことを追求すること、そして自分の時間を大切にすることが重要です。私は、経験主義者なので、経験したことしかはっきりと語れないのですが。だから、人に何か言われても、うーん、そう?となるだけで結局私は経験して知りたいと感じます。私にとって、自分の好きなことが重要なんです。それを自分自身で見たり聞いたりした結果、それが私の中で非常に強い存在となっています。中庸という言葉や考え方が好きですね。

 自分は他人に役立てることがそれほどないかもしれないですが、それでも何かをやり続けています。私ができることは何だろうと思うんです。人々に話しかけることなんじゃないかと思います。笑顔で人に挨拶する、話しかける、そこからいい日が始まる。ご縁ができる。

 私自身としては、自分自身に問い続けることがずっと重要です。人生の山を登り、山を下りるというのは大変かもしれませんが、その険しさが苦にならないということです。その過酷な状況でも、何が起きてもそれを嫌がらないということなんですね。自然にストレスを溜めず、虚しくなることもありますが、それでもそれが良いと思います。

 これからはもうイギリスに行かなくてもいいかなと思います。私の目の前に見せてくれる景色に感謝しながら、道を歩み続けて行こうと思います。

対話後記

 上岡さんの好奇心と優しさ溢れる言葉が強く印象に残りました。自身に「強く生きる」ことを問いながら、好奇心に従って行動することを大切にしておられることが理解できました。大好きなイギリスを訪れ、自身の変化を振り返り、新しい自身を発見する。変化を前向きに見つめ続けるからこそ、周囲に対しても柔軟に関係を育んでいけるのだと感じました。
 挑戦の中で起きる変化を肯定し、常に次の山を探されている上岡さん。穏やかさと野心が同居したかのような、ワクワクした笑顔が素敵でした。

(インタビュー・編集 小宮明子)