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2023年12月7日 Age-Well Design Lab

【シニア傾聴インタビュー_vol.5】一生進歩し続ける自分でありたい。

 AgeWellJapan Labでは月に1回、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-Well”を体現されている方へのインタビューをお届け。Age-Wellな生き方を発信していきます。

 今回は、株式会社AgeWellJapanの事業の1つである孫世代の相棒サービス、「もっとメイト」を姉妹でご利用されている近藤由紀子(こんどう・ゆきこ)さんにインタビュー。由紀子さんは、本記事のインタビュアー・村田が担当するメイトさん(お客様)です。

 いつも明るく、エネルギーに満ち溢れた由紀子さんはまさしく「Age-Well」を体現されているような方。何歳になっても新たなことに挑戦し学び続ける、由紀子さんの「Age-Well」のヒントに迫ります。

ずっと歩き続けるために

村田:インタビュアー)由紀子さん、本日はどうぞよろしくお願い致します!お会いする度にたくさんのパワーをくださる由紀子さんですが、そんな由紀子さんの元気の秘訣を教えてください。

由紀子さん私は死ぬまで歩いていたいと思っているんです。なので、まずは歩くための足腰を鍛えること、そして自立して歩くためには欠かせない頭の体操をすることを常に意識しています。

村田)以前お話した際、ご自宅のマンションではエレベーターを使わずに階段を使っているとおっしゃっていましたね。

由紀子さん)少なくとも自宅の7階までは階段で上るようにしているんです。その時、少しでも身体を使うために、マンションの左右にある2つの階段を行き来しながら上るようにしています。頭の体操といったら、私が住む渋谷区にはシニアの増加に伴って力を入れている様々なプログラムがあるので、それらに積極的に参加していることです。具体的には、スマホのあれこれを教えていただけるスマホサロンや1対1でスマホについて聞くことができるスマホ相談、認知症予防のためのオレンジカフェ等に参加しています。そこでスマホの勉強をしたり、人とお話したりといったことが元気の秘訣なのかもしれませんね。

村田)7階までなんてすごいですね!中でも、スマートフォンに関してはもっとメイトにスマホサロン、スマホ相談を活用して学ばれているようですが、そもそもスマートフォンを学び始めたきっかけは何ですか?

由紀子さん)きっかけは、若い人がスマホをものすごい速さで使われていて「すごい!」と思ったことです。それからは「自分もこうになりたい」と考えるようになりました。当時の私は、ポチポチとゆっくりやっていましたから。若い人が使いこなしている姿には憧れがありましたね。それで、ある時スマホレクチャーのイベントに参加したら、その説明がとっても丁寧で分かりやすくて。「これなら私にもできるかも!」と思ったんです。その時からもっとメイトを利用し始めて、杉本先生(以前由紀子さんを担当していたもっとメイトパートナー)に出会いました。もっとメイトは、私がそれまで参加していたシニアばかりのプログラムとは違って、孫世代の若い方と交流ができるんです。孫もおらず、若い方との付き合いが全く無かった私にとって、そんな孫世代の新しい考えと出会えるのは本当に楽しいことです。

村田)由紀子さんからは度々担当パートナーであった杉本さんのお話をお聞きしますが、由紀子さんにとって杉本さんはどのような存在でしたか?

由紀子さん)そうですね、ひと言でいうと私は杉本先生が大好きなんです。始めて3ヶ月程で杉本先生が留学なさることになって残念だったのですが、杉本先生は「留学先のオーストラリアに行ってもスマホの練習はできます。毎日日記を書いて送ります。」とおっしゃって下さいました。だから私もお言葉に甘えて、毎日の出来事をLINEのメッセージで送り続けたんです。そしたら、すごく丁寧にお返事があって。そのおかげで、始めはノロノロだったフリック入力も少しずつ上達していきました。そして何より嬉しかったのは、先生がたくさん励ましてくださったこと。それで、もう大好きになってしまって。

村田)確かに由紀子さんが杉本さんのお話をなさるご様子からも、その想いがひしひしと伝わってきます。

由紀子さん)もう1つ、杉本先生との時間で1番興奮したのは昨年のサッカーワールドカップ。先生は留学先のオーストラリア、私は東京の自宅から、リアルタイムでやり取りしながらサッカーを観戦しました。それから、サッカー好きの彼の丁寧な解説にものすごく興奮して。日本が勝ったときには、1人自宅で飛び上がっちゃいました(笑)。私にそんな素敵な時間を下さった杉本先生には本当に感謝しています。今はもっとメイトをご卒業されていますが、末永くお知り合いでいたいなと思っています。

村田)本当に素敵なご関係ですね。由紀子さんにここまで愛されている杉本さんが羨ましいです。

由紀子さん)今は姉が凜先生(村田)にお世話になっているでしょう。それで私も一緒にやらせていただいて、いつも本当に楽しいです。

村田)ありがとうございます。これからも末永くよろしくお願い致します!

知識を取り込むことの面白さ

村田)人生100年時代と言われる今、これからやりたいことはありますか?

由紀子さん)今まではやりたいことが特に無かったのですが、杉本先生と出会って、新しい知識を自分の中に取り込んでいくことの面白さを知ってしまったんです。86歳の私でも、色々なことを教えていただいて、できるようになっていくのが嬉しくて。それで、「歴史の学び直し」が面白くなってきたんです。

村田)「歴史の学び直し」ですか! 

由紀子さん)「学び直し」というよりは、ゼロからの勉強という部分が大きいです。私が学生の時は終戦後の歴史をあまり知りませんでした。というのも、教えちゃいけなかったのね。だから、歴史と言えば古代ばかりなんです。明治時代までを勉強したらまた古代にくるっと戻る。それからまたやり直して、あとはパパパっと終わってしまうんです。それで高校を卒業したので、ほとんど歴史を習っていないんです。

村田)だからこそ「歴史の勉強」というのは、由紀子さんにとって新たな発見が多いのですね。

由紀子さん)そうなんです。自分で歴史の本を読み直したら、その面白さに目覚めてしまって。やっぱり歴史には色々な意見がありますでしょ。今まで習ってきたことが嘘ばっかり、みたいなこともあって。日本ができたところから始まって、どんどん面白くなって。それで結局、私がすごく好きな室町時代で止まっているんです。でも、その次の戦国時代は歴史好きから人気があるでしょう。だから、その先に早くいきたい。そして、きちんと現代までの歴史を学び終えることが私の目標です。

何歳になっても「恋」をすること

村田)以前、由紀子さんから「何歳になっても恋をすることが大事」という言葉をいただきましたが、このことについて詳しく教えてください。ちなみに由紀子さんは今、「恋」をされていますか?

由紀子さん)それこそ私は今、足利尊氏に「恋」をしてます。足利尊氏のとあるエピソードを知った時に、私は彼をとても好きになってしまいました。彼はそれまでの将軍とは違って、人を蹴散らかして上がってこうというタイプの人ではなく、のほほんとした人だったらしくて。それで彼の「戦争の無い、良い国にしたい」という気持ちがすごく理想主義で、そこが気に入ったんです。だから今は、彼を描いた、この新しい歴史小説をすごく読みたいんですよ。

由紀子さん)「恋」って言えば、私は誰かを好きになってないといられないんです。だから、常に誰か好きな人がいるわけです。それは身近な人かもしれないし、芸能人かもしれない。全然関係なくても、ここにいて、その人のことを想っているの。そしてそれは1人ではなくて、たくさんいる。自分に対して良くしてくれる人ですね。

村田)その中でもやはり「恋をする」にあたって、人と関わることが由紀子さんの中で大事な要素と言えそうです。

由紀子さん)そうですね。私のことを褒めて、ある程度評価してくれる方との関わりがとっても大切だと思います。私は「飴と鞭」といったら「飴」が大好きで、飴だけでもいいくらい。凜先生(村田)もそうだし、渋谷区のスマホサロンやスマホ相談の方たちも皆さん私のことを高く評価して下さるんです。そんな方たちとの関わりがあって、今の私がいるのかもしれませんね。

村田)そんな由紀子さんが考える、「人との関わり」について詳しく教えてください。

由紀子さん)それは相手のことを好きだろうが、嫌いだろうが、誰かしらとコンタクトを取っておくということですかね。私も実際、人とぶつかることは多いけど、何でも良いから繋がった状態をつくるようにしています。そうすると、自然と関わった人の悩みや課題を一緒に考えるようになるでしょう。そこで自分も頭を働かせて考えるようになる。それが良いんじゃないかしら。問題を解決するってことは、1人より2人の方がまだいいんです。そして、3人いればもっといいの。自分以外がいるとやっぱり色々な案が出てくるわけ。だから人との関わりっていうのは、すごく大事だなと思います。でないと、1人で勝手に考えて妄想に走っちゃうのね。ああなんじゃないか、こうなんじゃないかって。考えること自体は良いのだけど、それは結局、解決には繋がらないですね。

村田)確かに、抱える悩みや課題を解決に向けて一緒に考えるって大事なことですよね。自分一人で向き合おうとすると、どうしても偏った見方をしてしまいますし。

由紀子さん)人と関わって繋がらないと、結局、自分のためにならないのね。解決しないってことは、満足しないってことですから。そうすると、やっぱりそれを勇気や糧にしてっていうわけにいかないんですよ。

村田)由紀子さんが常々おっしゃっているように人と関わって評価をいただいて、ポジティブになって…と、ステップアップしていくイメージですね。

由紀子さん) そうですね。やっぱり進歩がある程度見えないと面白くないですよ。そして、習ったことに対して嬉しいと思わなければ、人は進まない。私は死ぬまでずっと何かしらの進歩があるといいなと思っています。

村田)それこそまさに、人生の目標を持って前進し続ける「Age-Well」な生き方ですね。人生100年時代、日々着実に成長していくことの大切さを改めて感じます。

義母の生きた時代を若い人に伝えたい

村田)そう言えば、由紀子さんには夢があるとお聞きしましたが、それについても改めて教えてください。

由紀子さん)実は、主人の母から聞いた話を文字にして世に出すことが夢なんです。主人の母とはずっと仲が良くて、最期はうちで一緒に過ごしていました。当時、自分は仕事を辞めて毎日ぼんやりと過ごしていたわけですが、彼女がご飯を食べている時にポロリポロリとしてくれるお話がものすごく面白かったんです。明治後期に生まれた彼女は大正、昭和、平成と4つの時代の流れを掴んでるの。東京駅が完成した時も下駄を履いて小学校の友達と見に行ったとか。そういうことをたくさん話してくれて。これは面白いから記録しないともったいないと思って、毎回カセットテープを回して聞いていました。

村田)教科書で読むような出来事を実際に間近で見ていた方の口から聞けるなんて、とても貴重な体験ですよね。

由紀子さん)そうなんです。だから、そのカセットテープの録音の一部をかなり前にパソコンで文字に起こしていて。こんなに面白い話をぜひ今の若い人たちにも知ってほしいって思っているんです。なかなか聞けないでしょうし。「世に出す」って程ではなくても、どこかの媒体で少しずつコラムみたいに出していけたらな、なんて考えてます。

村田)私もぜひ読ませていただきたいです。その夢は必ず実現させましょうね!

由紀子さん)ぜひその編集をあなたにお願いしたいわ。後でやろうと思ってなかなか手を付けられていない夢だけど、私はまだまだ元気で死なないから時間はたくさんあるの。ぜひ一緒に夢を実現させたいです。

対話後記

初めてのシニア傾聴インタビュー。大好きな由紀子さんへのインタビューでは、「死ぬまで進歩し続けたい」と目を輝かせながら力強く語る、私の憧れの姿がありました。お会いする度に、「これをやりたい、知りたい!」と前に進み続ける由紀子さん。そんな由紀子さんのポジティブな姿勢を間近で見ていると自ずと力が湧いてくる私ですが、最近では由紀子さんと直接お会いしている私に留まらず、そのエピソードから、私の家族にまで「Age-Well」が波及しています。身近な人が少しずつ「Age-Well」への一歩を踏み出す様子を見て感じたのは、「Age-Well」こそ、シニアの方に限らず、誰もが目指すべき人生の歩み方であるということ。私が抱いていたシニアに対するイメージを180度変化させ、「私もこんな風に歳を重ねていきたい」と思わせて下さった由紀子さん。これからも全力でその人生に伴走していきます。

(インタビュー・編集 村田凜)