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2024年4月17日 AgeWellJapan Lab

【シニア傾聴インタビュー_vol.6】「両親が好きだった日本で暮らして四十年。異国の地でAge-Wellでいることとは」

 AgeWellJapan Labでは、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-Well”を体現している方へインタビューを重ね、Age-Wellな生き方を送るための秘訣に迫ります。

 今回は、孫世代の相棒サービス「もっとメイト」を二年前から利用されている池田永子さんにインタビュー。大好きなワンちゃんたちの日常をYouTubeチャンネルや、TikTokで発信しようと、さまざまなデジタル機器やアプリを活用しています。「学ぶことが大好き」と語る池田さん。結婚を期に韓国から来日し、環境や文化が異なる中でも日々を楽しみ、挑戦を続けてきました。どのような想いや信念で、Age-Wellを実現しているのでしょうか―。

生まれ育った国、韓国

インタビュアー・喜屋武)今日は、弊社のAge-Well Designerの湯上と毎週時間を過ごされている、埼玉県北越谷のカフェでお話を伺います。北越谷に住まれて長いのでしょうか。

池田永子さん)はい、もう40年弱住んでいます。もともと、私は昭和35年(1960年)に韓国で生まれました。父も母も韓国人で、8人兄妹の末っ子です。父は田舎の学校に勤めていました。幼い頃から、美術が周囲に当たり前のようにある環境でした。自宅にはアトリエのように絵具や石膏が置いてあり、兄も美術を教える仕事をしていました。私自身も油絵や水彩画を描くのが好きで、大学卒業後は子どもに美術を教えていました。韓国は教育熱心で、美術に限らずバレエや音楽の個人レッスンが流行っているんですよ。
 これはのちのち私が日本に住むことになった理由にもつながりますが、父も母も日本が好きで、ずっと褒めていました。近所に日本人の奥様がいて、母と仲良しでした。その方はとても礼儀正しくて謙虚な方なんです。1日10回会っても、10回同じように深くおじぎをしながら挨拶をしてくれるような方。母は「日本人を悪く言う人もいるけど、個人的に付き合ってみたらこんなにいい人いないよ」と常日頃から口にしていました。そんな母の形見に、私の宝物があります。横幅が55cm、縦幅が22cmの御影石で、80キロもあります。日本人の方から譲っていただいた物らしく、母は「タタミ」と呼んでいました。

池田さん)何に使っていたかっていうと、まずこの上に綿などシワになりやすい素材を載せます。今はないんですけど、以前は木でできた細い棒があって、それで布を叩くんです。そうするとシワが伸びて綺麗になる。つまりアイロン台として使っていました。母が大切にしていたものだったので、大学2年生で母が亡くなった時に「これは私がもらう!」って80キロを抱きしめて持ち帰りました。今は2階の一番日の当たるところにおいて、毎日撫でています。気持ちがいいんですよ。

学ぶことが楽しいという気持ちで

池田さん)あの、あなたはロータリアンってご存知ですか?

喜屋武)初めて聞く言葉です!「ロータリアン」とは何ですか?

池田さん)「ロータリークラブ」という国際的な社会奉仕連合団体があって、そこで活動する人のことをロータリアンといいます。経営者や役員、医師や弁護士などの専門職をされている方が入会できるんです。世界中に拠点があり、アメリカ、台湾など、国同士の交流も活発です。韓国で美術を教えている時、私の10歳上の姉が韓国で飲食店などのビジネスをしていて、ロータリークラブに所属していました。人のために奉仕活動をする姉を見てステキだと思っていて、ある日、姉が日本のロータリアンを紹介してくれました。私が24歳で相手の男性が31歳。それが今の夫です。知り合って3年くらい経って、結婚を期に日本に住むことになりました。

喜屋武)生まれ育った韓国から、言葉も文化も違う日本にいらして、大変なことはありましたか?

池田さん)両親の影響で日本が好きだったので、日本へは旅行で何度か来ていましたし、大変と感じたことはなかったですね。結婚前には、日本語を学ぶために日本でしばらく過ごしました。日本語学校に通ったり、新宿のミスタードーナツでアルバイトをしたこともあります。

Age-Well Designer 湯上)永子さんは、1日でメニューをすべて覚えてしまったそうです!

池田さん)当時はセルフで商品を取る形ではなく、お客さんがカウンターで注文して後ろからとってくるスタイル。商品を覚える必要があり、家でメニュー表とにらめっこしながら覚えました。苦労だとは感じませんでした。覚えることや学ぶことが楽しかったんです。アルバイトに限らず人生全般で、知らないことを一つでも知れること、学べることが好き。
 先ほど話したロータリークラブでも、活動を手伝っていました。韓国に留学する日本の大学生たちに韓国語を教えたり、世界中から子ども達の絵を送ってもらって展示をしたり。アメリカから来た子どもが家にホームステイしたこともありました。新しいことを学ぶ経験が好きな性格だから、なんでも挑戦していましたね。

湯上)永子さんはゴルフもお上手なんですよ。

池田)ゴルフは30歳ぐらいからずっとやっています。きっかけは、友人からのお誘い。私は背も小さいし運動神経がいいわけではなく、「私なんかにはムリよ〜」と断っていたのですが、「試しにチャレンジしてみよう」と。挑戦を始めると、素人がやみくも頑張っても簡単に上手くならない。早く上達したいと、習うことにしました。「どうせなら最高のコーチに教えてもらおう」とレッスンプロを探し、毎回2時間かけて通って、どんどんと楽しくなり、気が付いたらハマっていました。

喜屋武)2時間もかけてレッスンに!?

池田さん)好きになったことはプロとまではいかなくても、「トップアマチュアになれるくらいまではやりたい」と思って頑張れるんです。ゴルフは身長が大きければいいとか、力が強ければいいということでもなくて。結局は要領と、下半身の使い方。単純じゃないんです。ピンに近ければ近いほど、頭の中で軌道をイメージし、全身を使ってコントロールする。それも、楽しい。

池田さん)ほかにも、絵を描く仲間とグループ展を毎年開催していました。上野の美術館で展示したこともあります。最近は、飼っているワンちゃんの動画をYouTubeチャンネルにアップすることに没頭しています。

YouTubeチャンネルをはじめたきっかけ

喜屋武)二匹のワンちゃんを飼われていて、ご自分で撮影・編集もされているんですよね。

池田)ルビとマロンという名前です。ルビには2020年に韓国のペットショップで出会いました。「かわいい!」って韓国の家に連れて帰ってから2ヶ月後にコロナが流行ってしまい。当時ワンちゃんは国を移動するのに半年〜1年ほどかかる検査があったので、仕方なく知り合いに預けて私だけ先に日本に戻りました。結局2022年まで引き取れなくて、その間いつもルビのことが頭に浮かんでいました。会えない寂しさが募って、2021年12月の大晦日、マロンを家に迎えました。ルビがやっと日本に来たときは本当にうれしかった。忘れもしない、2022年1月14日のことです。それから、ルビとマロンと一緒に暮らしています。

喜屋武)YouTubeを始めたのはその頃からですか?

池田さん)ルビと離れている時、韓国で何気なく撮影した動画を何度も見返していて、試しに自分で編集してアップロードしたんです。やってみると面白くて、ルビとマロンが一緒に暮らせるようになってから、成長記録も兼ねてYouTubeにアップするようになりました。お恥ずかしい話、ふたりを飼うまで、どこかで「犬はただのペット」と思っていました。でも、一緒に暮らすようになったら、犬にも感情があることに気づきました。例えば、犬も入れるお店でソファに座ったら、「お!ここは居心地がいいぞー」みたいな顔をするんです。彼らの気持ちをもっともっと汲んであげたくなって、この子たちは家族なんだ、と愛おしくなりました。ルビとマロンは子どものような存在です。「ペットはただかわいければいい」なんて思っていたけれど、とんでもなかった。ふたりと過ごすことは、自分自身にとっていい勉強になっています。

Age-Well Designerは私のオアシス

喜屋武)もっとメイトを利用されたのも、動画編集がきっかけだそうですね。

池田さん)ゴルフの時もそうでしたが、「プロから教えてもらうのが一番の上達の道」と考えているので、YouTubeを始めた時も「もっと動画編集を学びたい」と思い、レッスンを受けたくなりました。検索してみたら、「もっとメイト」が出てきたので電話、すぐに湯上さんがきてくれました。2022年10月のことです。今は月に4回、このカフェで会ったり、買い物に行ったり。家にきてもらうこともありますね。
 私、今の若い人に対する偏見があったんです。クールであたまでっかちで心がないんじゃないかなって。でも、もっとメイトのAge-Well Designerさんたちに会って、賢いのに素直だなと思いました。思い込みはよくないと反省したんです。湯上さんの賢さに触れてるうちに、私も賢くなってきた気分です。私が尋ねたことを、毎回湯上さん自身が学習してきて、教えてくれるのです。学生の頃って、わからないことがあったら学校に行って先生に聞けばいいでしょう。今は、わからないことがあったら、湯上さんに聞けばいい。今の時代、新しいことがたくさんあって、日々わからないことだらけ。こうして湯上さんに出会えて本当に嬉しいんです。お会いして、帰る時には毎回、「今日も一つ賢くなった!」ってルンルンしちゃいます。

湯上)永子さんの「YouTubeチャンネルをもっと盛り上げたい!」という要望を叶えるために、動画編集アプリについて調べたり、動画を見て視聴者目線で感じたことをお伝えしたりしています。YouTubeだけじゃなくてTikTokも始めたんですけど、流行りの音源を使うことを提案したりもします。

池田さん)私と湯上さん、二人の考えを合わせて作ったら2倍にも3倍にもステキなものになる気がします。私自身がYouTubeに出演することもあって、視聴者の方に「おばあちゃん」って言われてしまうかしらと思ったら「40代の方ですか?」と言われたりして。私と湯上さん、足して2で割って40歳に見えるのかも(笑)。Apple Watchも湯上さんとお揃いで買いました。今はこれで支払いもできるんですよ!湯上さんに出会うまで、こんなことができるなんて想像もしていませんでした。夫の愚痴を聞いてもらうこともあるし、私にとってもっとメイトはオアシスで、湯上さんに貰いっぱなしです。

喜屋武)すてきなご関係ですね。池田さんが、日々を送る中で大切にされていることを教えてください。

池田さん)人と関わる上で、否定ばかりじゃなく、肯定をしながら生きることです。人の生まれもった性格は、そんなに簡単には変わりません。だったら自分が変わったらいい。相手に対してイライラするより、認めて受け入れ、納得をするようにしています。人間は誰しも良い面と悪い面があるので、良い面を見る方がいいんです。だから、私は人の良いところを見つけるのが得意です。

湯上)私も永子さんと一緒にいることで自己肯定感が上がりました。いままで当たり前にやってきたことを褒めてくれるんです。それが私の長所なんだと気づくことができました。

池田さん)あとは、シンプルに生きることも大切です。ある時、物が多すぎると感じて、身の回りのものを手放してみました。そうすると気持ちが整理されて心地よかったんです。それ以降、「増やすのではなく減らす」という考え方を大切にしてきました。「減らす発想」で日々を過ごすと、「やらなくていいでしょ」っていうことが見えてきます。たくさん得ようと思わないことが大切です。この考え方は、若い時には「本当にこの考え方でいいのかな」って悩むこともありましたが、このくらいの年齢になって自信がついてきました。

喜屋武)これから挑戦したいことはありますか?

池田さん)実は、恵まれないワンちゃんのための支援活動をしたいと思っています。悲しいニュースを見ると胸が痛くなって……。私はルビとマロンのおかげで人生がこんなにも豊かになって、すごく感謝しています。ふたりの幸せと、恵まれないワンちゃんのために、自分ができることをやりたい。体を張ることは体力的に難しいかもしれないですが、手を伸ばせることがあるなら、役に立ちたい。今、計画を立てているところです。

対話後記

韓国でお育ちになったと気づかないほど、日本語が流暢かつ語彙も豊かな池田さん。「好きになったことはトップアマチュアになれるくらいまで頑張れるんです」との言葉を体現し、人生を楽しんできたこと。そして今も、湯上さんと接する中で新しいことを学び続け、日々ワクワクしていること。Age-Wellな池田さんのエネルギーに、正直圧倒されました。また、「ペットや若者に対しての思い込みがあり、実際に接することで考えが変わった」と語る池田さんは、自身の考えや価値観にとらわれすぎず、とても柔軟な方でもあります。Age-Wellにつながる、一つのヒントになりそうです。
AgeWellJapan labでは、これからも池田さんのようなAge-Wellな生き様を発信していきます。                

(インタビュー・撮影・編集 喜屋武ちあき)