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2024年9月30日 Age-Well Design Lab

【シニア傾聴インタビュー_vol.9】心の栄養をはぐくむ、温故知新の人生

 Age-Well Design Labでは、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-Well”を体現されている方へのインタビューをお届け。Age-Wellな生き方を発信していきます。

 今回は、横浜・二俣川駅の多世代が集うコミュニティスペースであり、Age-Well Design Labの拠点でもある「モットバ!FUTAMATA RIVER LIBRARY」に通いながら、最近は孫世代の相棒サービス「もっとメイト」の利用も始められた大道寺良子(だいどうじ・よしこ)さんにインタビュー。

 栄養士の道に進み、公務員としてキャリアウーマン人生を歩んできた大道寺さん。その背景には、たくさんの方との出会いがもたらしてくれた“心の栄養”がありました。健康のために日々の努力と工夫を欠かさない、大道寺さんの「Age-Well」の秘訣を紐解いていきます。

気づいたら好きになっていた栄養士の仕事

インタビュアー:飯島)大道寺さん、本日はよろしくお願いいたします!大道寺さんと言えば「食の哲学」、栄養士として働いてこられたからこそのポリシーがありますが、そもそも栄養の道に興味を持ったのはいつ頃からでしょうか?

大道寺さん)元々栄養学にはあまり興味がなかったんです。母が教育熱心だった影響で、小さい頃から予備校に通うなど勉強を続けていました。大学進学の時に私大の薬学部を目指すことになったのですが、受験に失敗してしまって。それで神奈川県立栄養短期大学に自然な流れで進みました。

それから卒業後は国立栄養研究所で6年間研修生として働きました。そこの室長をはじめ、職場には尊敬できる素敵な方がたくさんいたんです。栄養学の道に進んだのは自然な流れだったけれど、周りの環境に恵まれたおかげで栄養学が好きになりました。

その後、26歳のときに県庁の管理栄養士の試験に思い切って挑戦し合格をつかみ、定年まで勤めました。コンビニ弁当の研究をしたり、記者会見で食品の研究成果を発表したこともあったんですよ。

飯島)ひょんなことから進んだ栄養士の道でしたが、今では栄養学がかけがえのない生涯の指針になったんですね!お母様は教育熱心ということでしたが、お父様はどのような方だったのでしょうか?

大道寺さん)昔でいう「バンカラ」。とても正直で格好つけない人でした。子どもの頃はそんな父が苦手でしたが、実は今一番会って話したいのは父なんです。「お父さんのおかげで今幸せに生きることができていて、たくさん素晴らしい人に会えている」と感謝を伝えたいですね。私はずっと独身ですが、それは父のような人に出会わなかったからなのかもしれません(笑)

自分の辞書からマイナス言葉を消してくれた出会いの数々

飯島)大道寺さんは幼少期はどのようなお子さんだったのでしょうか?

大道寺さん)昔は劣等感の塊で、特に姉と自分をよく比べてしまっていました。けれど、歳を重ねて様々な方と交流していくうちに、外見ではなく内側を磨いている美しい人にたくさん出会い、そのおかげで40歳になった頃には自分の辞書から「コンプレックス」という言葉が消えていたんです。そこからは本当に憑き物がひとつ落ちたように楽になりましたね。また、「めんどうくさい」という言葉も私の辞書からなくなりました。それは「一生自分の足で歩く」というポリシーで生きるようになったからだと思います。この言葉は理想だと言われることもあるのですが、だからこそ私は日々の努力を欠かさずこのポリシーを守って生活しているんです。

飯島)大道寺さんが自分のことをポジティブに捉えられるようになったのは、素敵な方たちとのご縁があったからなのですね。日々の努力というのは、具体的にどのようなことをされているのですか?

大道寺さん)毎朝5時に起きて、50分かけて決まったコースを散歩しています。帰ってきてシャワーを浴びると、気分もすっきりして朝ご飯を食べられるんです。散歩では5,000歩ほど歩き、日中には「モットバ!」に出かけたり買い物したりするので、1日1万歩ほど歩いているでしょうか。毎日自分の足でしっかり歩くこと、それが私にとっての喜びであり毎日の大切な習慣でもあります。ただ無理はしないので、雨の日はお休みです。

最近はジムにも行き始めたんですよ。週に1回パーソナルで通っています。ジムの先生がとても素敵な人で、おかげさまで続けられています。

身体だけではなく、脳の健康も大事なんですよ。モットバ!では英会話講座に通っていたのですが、今は個人で英会話教室のレッスンを受け始めました。「基礎からしっかり学びたい」という私の思いに先生が応えてくれ、毎週楽しい時間を過ごしています。それからスマホです。「もっとメイト」では、飯島さん(大道寺さんを担当するAge-Well Desiner)に脳トレをお願いしています。毎日続けるコツは、まず始めてみることですね。

AgeWellJapanとの出会い、そして感銘を受けた赤木社長の言葉

飯島)大道寺さんはかなり前からモットバ!、そしてAgeWellJapanに深く関わってくださっていますよね。

大道寺さん)出会いはモットバ!ができる前、二俣川にあったオトナ塾grandでした。元々地域ケアプラザに出入りしていた時に英会話の先生にオトナ塾grandができたことを聞いて、覗きに行ったことが始まりです。オトナ塾grandができたばかりの頃にモニターメンバーとして入り、その後正式に会員になりました。今考えればとても自然な流れで引き寄せられたように感じます。オトナ塾時代には会員として初めて自分の講座を開き、10人ほどの前で栄養学について講義しました。あの頃から数えると、もう5年近くのお付き合いになるかしら。

以前赤木社長と皆さんでお話した時、赤木社長が「一番宝物にしているのは笑顔」とおっしゃったんです。私はその言葉にハッとし、感銘を受けました。以来私も笑顔を意識して生活するようになったんです。

飯島)そんなモットバ!だけでなく、8月からはもっとメイトの利用も始まりましたね!Z世代のスタッフであるAge-Well Designerとの関わり方も変わってきたのではないでしょうか。

大道寺さん)Age-Well Desinerのいいところは、シニア世代に対して常にリスペクトをもって寄り添いながら挑戦を応援してくれるところだと思っています。モットバ!に今はたまにしか行っていないけれど、それでも行けばスタッフの方が「大道寺さん!」と声をかけてくれ、気にかけてくれる。そういった空間がとても心地いいんです。それから飯島さんにはいつも私の挑戦を後押ししてもらっています。誰かに後押ししてもらうだけで、「頑張って挑戦しよう」と思える。

 私は以前エッセイの教室に通っていたのですが、そこの先生に「本を書いてみませんか?」と誘ってもらい、サポートしていただきながら喜寿のタイミングで自叙伝を執筆したんです。誰かに見せるためではなく自分の人生を振り返るために書いたものですが、今もモットバ!に飾っていただいています。

このエッセイももっとメイトもそうですが、私の伝えたい想いや活動を誰かが後押ししてくれることで、一人でやるよりずっと頑張ることができるんです。

「生きているということは誰かに借りをつくっていること、生きていくということはその借りを返してゆくこと」

飯島)大道寺さんの今後の挑戦についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

大道寺さん)私は公衆衛生を専門に研究してきたこともあり、病気にならない健康な体を作るために「おうち食」が大事なんだということを若い世代に伝えたいですね。「おうち食」というのは、インパクトのある味の濃い外食と違って毎日食べても飽きのこない食事のこと。難しいようですが、ほんのひと工夫でできるものばかりなんですよ。

飯島)インスタグラムに料理写真をあげてくださっていますが、どれもとっても美味しそうで盛り付けも素敵ですね!これが簡単にできてしまうなんてびっくりです!

大道寺さん)料理の中でも私が注目して研究しているのは、伝承料理・郷土料理です。これは宮崎の冷や汁をうどんにアレンジしたもの。難しいようですが、サバ缶を使っているんです。簡単でもガラスの器に綺麗に盛れば、手軽だけれど見栄えもよく美味しい一品になるんですよ。

伝承料理・郷土料理には大切な要素が多いんです。畑仕事で時間のない中、塩分・栄養をきちんと補給できて簡単にできるように工夫されています。そして季節の食材をうまく食事に取り入れている。私が思い描くのはそんな土地に根差した「おうち食」です。

それからこの写真は作った精進料理を庭で食べたときのもの。ポイントは料理の下に敷いた蓮の葉です。料理の盛り付けに葉を敷いたり巻いたりするだけで風情が出るでしょう?香りもいいし、お皿も洗いやすくなる。万葉集にも『家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る』というように、古くから葉を料理に添えていたんです。

こういう少しの工夫で、おうち食は簡単にできてしまうんですよ。

飯島)お写真からも大道寺さんが日々の料理で取り入れているひと工夫が伝わってきます!「おうち食」について発信しようと思ったのはどういった想いがあるのでしょうか?

大道寺さん)私のポリシーは「温故知新」。良いものは後世に残していくべきだと考えています。放送作家であり作詞家の永六輔さんが昔言っていた、「生きていくということはその借りを返してゆくこと」という言葉が今でも心に強く残っているんです。今までたくさんの素晴らしい方々からいただいてきたものを、今度は私が若い世代に残していきたい。今の若い世代には食の教育が足りていないと思うんです。便利な世の中になったけれど、だからこそ食事だけではない、「心の栄養」も育てなくちゃ。それが“公衆衛生”ですから。

今やっているインスタグラムに加えてFacebookでもそんな心身の栄養の心得を発信できたらと思っています。こういったこともすべてご縁ですね。これからが楽しみです。

飯島)これからはもっとメイトの担当として、私が一番近くで大道寺さんの挑戦を伴走していきます!これからが楽しみですね!今回はありがとうございました!

対話後記

大道寺さんのお話には、必ず今まで出会った方々からいただいた言葉、想いが詰まっています。「こういう素晴らしい方がいてね」「この方の言葉が今でも心に残っているわ」と、素敵な出会いをいつも嬉しそうに語ってくださいます。いただいた恩は返していく、いわば恩送りの信念をとても大事にされている大道寺さんですが、されて嬉しかった気遣いや言われて感動した言葉を後世に語り継いでいくことで、大道寺さんなりの恩送りを体現していると感じました。

大道寺さんが出会った人々とのご縁を大切にしているように、私も大道寺さんからいただいた温かな心配りと気持ちを大切にAge-Wellに生きていこうと思いました。

(インタビュー:飯島加菜 編集:飯島加菜)