2024年2月7日
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お知らせ
【シニアアンケート調査_vol.2】シニア世代の住み替えに関するインタビュー。住み替えの価値観は、「住まい(モノとしての住居)」より「住まう(行動できる環境)」。
AgeWellJapan Labを運営する株式会社AgeWellJapanと不動産仲介を展開する株式会社KIZUNA FACTORYが共同で、シニア世代に対し、住み替えについての意識・動向調査インタビューを実施いたしました。
インタビューから見えてきた、ポジティブで豊かな生活を送るための住み替えや住環境に関する価値観や考え方についてまとめました。
1.シニア世代の住み替えに関する調査
AgeWellJapan Labの拠点である「モットバ!」、孫世代の相棒サービス「もっとメイト」の会員さんとお話をする中で感じることは、皆さんお一人お一人が、それぞれのライフスタイルを確立されているということです。また、それは、一朝一夕で出来上がったものではなく、時間をかけて構築されています。
今回は「住み替え」という切り口で、インタビューを実施しました。
住み替えは、ご家族の事情や健康状態と直結しているテーマであるため、お話を通して、現在の確立されたライフスタイルや今後想定しているビジョンの背景にある、価値観が見えてきました。
「Age-Well=(ポジティブに歳を重ねる)」な人生を送るために、住居選びにおいて重要視することは何か、背景にある考え方や価値観はどのようなものなのかをまとめました。
2.調査結果
今回は、65才以上の男女8名に、住み替えに関する意識と行動について調査をしました。
〇調査概要
調査概要:住み替えについての意識・動向調査インタビュー
調査方法:インターネットおよび対面でのインタビュー実施
調査期間:2023年6月15日〜2023年7月31日
有効回答:65才以上の男女8名
住み替えの価値観は、「住まい(モノとしての住居)」より「住まう(行動できる環境)」
今住んでいるサービス付き高齢者住宅では、土曜日は講座(デジタル系や健康系の勉強会)に参加できる。住んでいる方のみ利用可の図書室もある。マンションの中に運動できる施設があれば良いなと考えている(80代男性)
住み方一つをとっても、子どものために何かを残すという視点ではなく、自分の人生を楽しもうという姿勢があるのが素敵。(70代女性)
歳をとるとあまりにもシーンとしているところよりも、賑やかな方が動いている方が、自分の体が動きづらくなるからこそ、少しにぎやかな方が良い。社会が動いている感じがする(70代女性)
仮に今、ひとりになったら宮崎に行くかも。知り合いもいるし。(60代男性)
引っ越しが面倒だとは思わない。荷物はほぼ捨てた。(90代男性)
住み替えの際の関心は、身体のことを考えた快適な住空間(住まい)もあるが、そこでどう行動するか(住まう)にある。余生を送るという価値観ではなく、いかにポジティブに「自分の人生を楽しむか」が選択の基準になっていることが伺える。その価値観を持つシニアは、住み慣れた土地を離れたり、荷物を捨てたりと、モノに縛られずコトを楽しもうとする姿勢が見られた。住み替え選択においては、場所や物件に寄りすぎず、どのような行動を望んでいるかによって周辺環境や場を含めた住まい方の提案が決め手になる。
住み替えの検討は段々と一歩ずつ。相談相手は娘や息子。
一軒家に住んでいたが、体力低下から庭仕事が億劫になってきた。それを娘に話したら、娘が複数の不動産業者を紹介してくれた。物件の内覧に行って、家族と相談し、最終的に住み替え先を決めた。(80代男性)
私が積極的に引っ越したいと思っていたわけではない。妻が亡くなってずいぶん経っていたこともあり、男の一人暮らしを心配した息子が「近くに住まないか」と提案してくれた。あとは息子に任せて、マンションを探してもらった(90代男性)
病気や怪我などのアクシデントをきっかけに、住み替えを決めた方は少ない。日常生活を送る中で、庭仕事が億劫になったり、車の移動に不安を感じるようになるなど、自身の体力低下を感じる中で、徐々に検討が始まる。住み替えによって、息子や娘の居住と近い場所を選ぶ傾向は強い。実際に、娘や息子が積極的に物件を探すのを手伝うなど、良き相談相手になっている。
住み替えや住居選びは、子供や配偶者の意向を含めて、総合的に判断。
「老いたら子に従え」で、娘に「おいで」って言われたところに行くつもり。(70代女性)
家内が横浜が好きだから、基本的になんだかんだ横浜にいると思う。(70代男性)
いざ、住んでいる家を売り、新しい場所に住み替える時は悩んだ。お金の面が一番心配だった。家族や不動産屋に相談して、最後は自分で決めた!(80代男性)
住み替えや住居選びは、子供や配偶者の意見を考慮し、意思決定をしたいと考える方が多い。自身の理想はあるものの、他者の意見を受け容れ、現実的に選ぼうとする意識が強い。また、インタビューに応じてくれた方の共通項として、健康意識が高い・活動的・生活にルーティンがある・家族以外のコミュニティにも積極的に参加しており社会貢献意欲が高いことが挙げられる。アクティブ且つ健康的な生活を送っている方は、住み替えをポジティブに捉える傾向がより高いと考えられる。
住めば都。「都会」に住み替え後、変化した行動や考え方。
「住めば都」というけれど、その通り。都会に引っ越してきたら、家の目の前に24時間スーパーがあって、「大きな冷蔵庫」だと思っている!スーパーに行くのが楽しみ。(70代男性)
都会の賑やかなところはうるさくて性に合わないと思っていた。でも、今は、朝起きて窓を開けて、通学や通勤などの人を見るのが嬉しい。活動している人を見ると、一日が始まる!と思う。(70代女性)
郊外から都会に住み替えをしたことで、生活が便利になった、楽しくなったと感じている。住む前は、長年暮らしてきた生活圏が変わることや、かかりつけの病院が変わることに不安を感じていたが、実際に住んでみると、24時間営業のスーパーや総合病院が近くにあったりと、意外に利便性が高いことに気づく。そして変化をポジティブと捉え積極的に享受するライフスタイルを確立している方にとって、都会への住み替えは良い選択肢の一つと言える。また、賑やかなことを社会との接点を感じたり、新しい出会いに恵まれることを、ポジティブな面として捉えていることも興味深い。
3.調査後記
インタビューの全体を通して感じたことは、みなさんがご自身の身体的変化を客観的に認識しながらも、総じて、人生を積極的・前向きに捉えて意思決定をしているということでした。実際に、住み替えた先でも、地域のハブになっていたり、得意分野の先生をして周りの人から必要とされ、生き生きとした生活を送っていました。「住み心地」というものは、住空間に備わっているアセットで良し悪しが決まるのではなく、住んでいる場所の「人」をはじめとした環境要因や、住んでいる場所で何をするか?が大きいと学びました。そして、その背景には、自分主体の人生を楽しみ、アクティブに生活したいというポジティブな人生観がありました。そのベースの人生観が尊重される選択肢を今後増やしていきたいです。 (AgeWellJapan Lab代表 赤木円香)
日頃、シニア世代の住み替えに関するご相談を多くいただき、皆様悩まれていることから実態を把握したいと思い今回のインタビューに踏み切りました。大きなきっかけがなくても、心身のレベル低下を実感したタイミングで住み替えの検討を徐々に始めるケースが多いことが印象的でした。住宅の専門家として、シニアご本人とそのご家族と一緒に、理想的な住環境のイメージを膨らませるところから伴走していきたいと思っております。人生百年時代において終の棲家が人生の充実度に大きく影響するという重要性をしっかり噛みしめて安心できるお住み替えをサポートしていきたいと考えております。 (株式会社KIZUNA FACTORY代表 稲垣紀人)