2023年11月28日
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【シニア傾聴インタビュー_vol.8】大切なのは経験すること、全てが自分の糧になる
Age-Well Design Labでは、挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねる”Age-Well”を体現されている方へのインタビューをお届け。Age-Wellな生き方を発信していきます。
今回は、孫世代の相棒サービス「もっとメイト」を利用されている西村浩子(にしむら・ひろこ)さんにインタビュー。趣味を挙げたら10本の指で数え切れないと話す西村さんは、好奇心旺盛で何事にも果敢に挑戦されている方です。「とにかくやってみよう」と挑戦する姿勢があったからこそ、それらの経験を通じて様々な発見を重ねてきたという西村さん。今回はそんな西村さんの「Age-Well」に迫ります。
「やってみること」に意味がある
インタビュアー:喜屋武)本日はよろしくお願いいたします。西村さんは記事をよく読んで下さっているそうで、大変嬉しく思います。また、昨年のAgeWellJapan2023のフェスティバルステージ(BS朝日プレゼンツ『Age-Wellなシニアと、これからのメディアを語ろう!』のプログラム)にもご出演いただきました。海外経験をはじめとして、西村さんがあらゆることに前向きに挑戦することができる秘訣を教えて下さい。
西村さん)根底にあるのは「なんとかなる」のマインドだと思います。私の性格を一言でいうと「石橋を叩かないで」渡ってしまう性格なんです。なので、とにかくまずは「やってみる」。やるからには人一倍の努力が必要になりますが、1度やると決めたらきちんとやり遂げる。そのための努力は惜しみません。
それもあって、私は人に頼まれたら何でも引き受けてしまうんですよ。長男が小学校1年生のときには、PTAの役員も引き受けました。結局、その仕事はニューヨークに引っ越すまでの4年間続けることになり、たくさんのことを学ぶ良い機会になりました。やっぱり人に喜んでもらえるのは嬉しいことで、この経験が自分の自信にも繋がっていきましたね。現在は自治体のボランティア活動にも励んでいますが、地域の方からこんなに喜んでもらえるとは思ってもいませんでしたので、やってよかったと思っています。
喜屋武)素敵ですね!そのような姿勢をお持ちだからこそ、西村さんはこれまでに様々なご経験をされてきた。その中でも実際のところ、「やってみる」という挑戦の先に不安や心配を感じることは無かったのでしょうか?
西村さん)ありませんでしたね。というのも、私は何かに興味を持ってそれを「経験する」ことに大きな意味があると考えています。「経験」が人を変えるということですね。経験を積んでいくことで、「これができるんだから、次もやってみようかな」と思うことができる。経験によって、その連鎖が生まれていくんです。 歩んできた人生が3倍だから知っていることが3倍かと言うと、そうではなくて。経験が増えていくと、それらがどんどん繋がって、10倍、20倍…と広がっていく。私の歳くらいになると、改めて「経験する」ことの重要性を実感します。現代はスマートフォン1つで世界と繋がって、何でも調べて知ることはできますが、それだけではいけないと思うんです。身をもって経験することで初めて、失敗や成功が生まれる。それが次の挑戦に繋がっていくのではないでしょうか。
喜屋武)成功体験にフォーカスされることも多いですが、失敗体験からしか得られないものもありますよね。現在の西村さんの考え方は、幼少期より変わらないのでしょうか?
西村さん)いいえ。幼いころはほとんど話さない、口数のとても少ない子どもだったと母から聞いています。そんな私を、母は心配していたそうなんです。思うに、姉が話好きということもあったんでしょうね。姉が代わりに全部話してくれていたから、私自身の口から直接伝える機会が少なかったのかもしれません。ですが、大人になってからは少しずつ変化していきました。「変わろう!」と思ったわけではないですが、先ほどお話ししたように、まさしく「経験」が私自身を変えていったんです。
喜屋武)具体的にどのような「経験」があったのでしょうか?
西村さん)大学卒業後に就職したとき、私は職場で初めての大卒女性で最年長だったんです。他の女性たちと異なる職種だったこともあり、「どうしたら仲良くなれるのか」「良好な関係を築くことができるのか」と試行錯誤していました。だから私は、同僚たちに提案して、職場近くの山へハイキングに行ったり、1泊2日で出かけたりしたんです。そしたら自然と仲良くなっていきました。そのうえ、友人がそのまた友人を連れて来るものだから、人数もどんどん増えていって。そんな風に自ら働きかけて、どのように状況を良くしていこうかを考えて行動した結果、自分も周囲も前向きに変化させることができた。こういった経験の連続が、私自身を少しずつ変えていったのかもしれません。
転機となったニューヨークへの引っ越し
喜屋武)様々なご経験をされてきた西村さんですが、人生の転機となる出来事はありましたか?
西村さん)夫の転勤でニューヨークに引っ越したことです。当時の私は全く英語を話せない状況だったのですが、持ち前の「なんとかなる」の考え方で大きな不安もありませんでした。当時小学生だった子どもたちにも「私に任せなさい!ついてきて!」という感じでしたね。現地・ニューヨークでは、大好きで得意な「運転」は私の仕事。だから初めて覚えた英語は「ガソリンを満タンにして!」だったんですよ。
喜屋武)ニューヨークでの暮らしはいかがでしたか?
西村さん)全てが良かったです。とりわけ、ブロードウェイのミュージカルを何回も観れたことは本当に幸せでした。やっぱり世界一のミュージカルですよ!ジャズのコンサートも素敵で。他にも美術館をはじめ、色々なところに出かけていましたね。
あとは何と言っても、アメリカ人の友人がたくさんできたことがとっても嬉しかったです。主人よりも私の友人の方が多くて。1番多かったんじゃないかしら。友人を自宅に招待することも頻繁にありましたね。英語が得意ではなかった私でも、実際に行ってみたらやっぱりなんとかなったんです。おかげで楽しい時間を過ごすことができて、忘れられない思い出がたくさんできました。ニューヨークで出会った友人とは、今でも仲良くしています。
挑戦が新たな機会を生み出していく
喜屋武)多くの挑戦をされている西村さんが「もっとメイト」を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
西村さん)もともとスマートフォンはある程度使えていたのですが、近くに住んでいる孫がスマートフォンを使っているのを見たときに「こんなこともできるの!?」と、自分の知らない機能がたくさんあったんです。スマートフォンについて、90%くらいは知っているつもりだったのに。だから「人生100年時代」と考えたとき、あと少なくとも10年はあるかもしれない、残りの人生でそれ以上のことをもっと知れたら面白いだろうなと思ったんです。「全部はできなくてもやってみたい!」と。それでたまたま新聞を読んでいたら「もっとメイト」を見かけました。私はやると決めたらすぐに行動するものだから、即電話をかけてました。あれから色々できるようになって、最近は忘れていたパソコンにも再挑戦しているんですよ。
それからデジタルレクチャーを終えた後は、Age-Well Desinger(以下、AWD)の方とお話する時間。AWDは孫と同じくらい歳が離れていているのに、不思議とその差を感じずにお話しできるんです。最近の流行りを教えていただいたり、逆に私に質問してたくさん聞いて下さったり、「どうしてそんなに興味を持って下さるの?」と思ってしまうくらい!いつも話が止まりません。
喜屋武)AWDからも「毎回、西村さんとの時間があっという間に過ぎてしまいます!」との声を聞きました。AWDとの交流をはじめ、西村さんにとってどのような変化がありましたか?
西村さん)それはもうたくさんありますよ。こうしてインタビューの機会をいただいたのもそうですし、昨年にはAgeWellJapan2023のフェスティバルステージにも出演させていただいたこともそうです。私にとっては、思ってもみなかった経験でした。今思うと、出演依頼の話を聞いたときも「とりあえずやってみる」の考えがあったからこそ、次の瞬間には壇上にいたんです。そうやって、何でも引き受けて挑戦してみるという経験が、次へ次へと新しい経験の機会を運んできてくれました。
これからも「Age-Well」でいるために
喜屋武)西村さんは、かねてより「挑戦と発見を通じてポジティブに歳を重ねていく」という人生を貫いてこられたんですね。私自身もこのAge-Wellという価値観が、シニアに限らず、全ての世代にとって重要だと感じています。そんな西村さんがこれから挑戦していきたいことはありますか?
西村さん)いつもやりながら考えていますが、たくさんあります。現在もプレーしているテニスもそうですが、できる範囲でこのまま続けていきたいです。それから、もう行きたいところは行ってしまったと思っていたのに、これから海外に行く予定もあるんですよ。毎年1度くらいは行けたら嬉しいですね。国内旅行に関しても、これからは1人で色々な地方の美術館に行けたらと考えています。一人旅が長年の夢ですから。
そういえば、先日「いつまでも最強のおばあちゃんでいてね!」と孫に言われたんです。今度、孫と2人のオランダ旅行の予定があって。オランダは私がずっと行きたいと言っていた国なんです。というのも「ゴッホ美術館」と「フェルメール美術館」を訪ねてみたくて。孫からは「せっかくオランダに行くのなら、チューリップの咲くころに行こう!だからそれまで最強のおばあちゃんでいてね!」というLINEが届きました。そのためにも、やっぱり「現代の武器」であるスマートフォンをはじめ、デジタルをもっと上手く活用できるようになりたい。使いこなせれば、もっと楽しく、面白くなると思っています。
何かに挑戦するときに私が思うのは、「みんな同じ人間なんだから、それなりにやってみたいと思ったことは努力すれば、ある程度できるようになる」ということなんです。だから「何事もやってみる価値はある」。そうしているうちに、少しずつ興味関心や趣味が広がっていき、友人も自然に増えてきて、自分の世界が変わっていくんです。だからこそ私は「やってみよう」と一歩を踏み出すことができます。これだけ情報が溢れている社会で、自分にとって興味のあることは何でも知りたいと思ってしまうんです。好奇心のままに「なんだろう?」「なぜだろう?」と思えるからこそ、楽しみを見つけることができる。これからもその姿勢は変わらず、色々なことに挑戦していきたいですね。
対話後記
終始笑顔でインタビューに答えて下さった西村さん。何事にも果敢に挑戦し、その行動から気づきや発見を得ていく、西村さんがかねてより実践されてきたこの一連の行動は、まさしくAge-Well Design Labが導き出した「Age-Well」を生み出すサイクルそのものでした。自分の人生を自らデザインし、Age-Wellを実現していく。そのためには「なんとかなる」という精神をもって物事に取り組んでいくこと、そして何より「とにかくやってみる」ことが、重要な要素であることを実感できたインタビューとなりました。目の前に現れた「機会」を「挑戦」に変えることができるのは自分自身。だからこそ、私自身も「Age-Well」実現を目指して、西村さんから教えていただいたサイクルを実践していこうと思います。
(インタビュー:喜屋武ちあき 編集:村田凜)